2015年7月30日木曜日

本日発表されたウィキリークスによる「国有企業」に関するリーク文書の日本語訳

緊急発表!

本日発表されたウィキリークスによる「国有企業」に関するリーク文書の日本語訳です。
原文はこちら→ https://wikileaks.org/tpp-soe-minister/



2013 年12 月7~13 日

国有企業問題に関する閣僚への指針


TPP交渉参加国の大半は、商業的活動や、以下の項を含むWTOやFTAにおいて定められた現在の義務を超える独占に対する規制を支持してきている。
それは、

・国有企業及び独占企業の、商業的配慮を基にした活動をすることと、売買における非差
別的な対応に合致することを確かなものにすること、
・委託された政府の権威により活動する際には協定に定められた義務に従うことを確かな
ものとすること、
・国有企業に政府から委任された行為を含む場合にはその権限の範囲を法廷にて供すること、
・商業行為を行う国有企業と競争相手である民間企業との間の不公正な規則、
・内外に対する説明責任、

そして、

・国有企業の章の実行を監視あるいは実施するに当たっての委員会設置である、
技術的諸問題が残されているがそれは交渉の場において解決されるものと信じている。国
有企業に関する知財の効果的執行が知的財産権の章に移ってしまっている。
幅広い分野で閣僚による指針あるいは判断が求められている。

・貿易相手国に対して逆効果をもたらす国有企業に対する政府支援にどう対処するのか、
(物品やサ-ビス、貿易や投資などのような)幅広く適用される規律を政府が支援する場
合に必要とされる例外措置あるいは他の期待での柔軟な対処とはどうあるべきか、

・国有企業の定義、政府の各レベルに適用される国有企業の規律、そして紛争解決の仕組み

1.政府の支持
すべての交渉参加国は、既に物品貿易に影響を与える補助金に関するWTOにおける義務
を有している。TPP交渉参加国は、国有企業に対する政府支援について(WTOと)よく
似た規則を、より幅広い状況下に広げようと検討している。例えば1)物品貿易に影響を与
える政府支援、2)物品貿易・サ-ビス貿易双方において交渉参加国の領土内において国有
企業と他の交渉参加国からの投資との間の競争に影響する政府支援である。しかし提案され
た内容は、TPP交渉参加国の利害に対して反対の影響をもたらすくらいまでに政府による
国有企業への支援を制限するものでしかない、

2.例外措置と他の柔軟性
もし政府による国有企業支援に広範な規律が含まれているなら、交渉参加国は各国に対し
て、規律を台無しにすることなく各国政府に適切な政策余地を与えるために、どのような例
外措置や柔軟性が必要なのか決定する必要がある。例えばWTOでは物品貿易においては、
補助金規律の一般免責条項は無い。TPPではどのようにサ-ビス貿易に影響を与える政府
補助に対処すべきだろうか?当該国内において国有企業と隠された投資との競争に影響を
与える規律に対してどのように柔軟性で対処できるだろうか?交渉参加国は、一般免責、範
囲の除外、交渉参加国の特定国に対する柔軟性を提案してきた。

3.国有企業の定義と、行政組織全ての段階の政府への適用
隠された国有企業の定義に当たってどのような基準を設けるべきだろうか?規律の目的
は?政府所有とは?支配力の行使は?効果的な支配とは何か決定するにはどんな基準を使
うべきか?等々中央政府、地方政府など異なるレベルの政府において設立され委託された国
有企業や独占的企業にどのように規律を適用するのか?各国は中央政府ではない範囲ある
いは組み込まれたものとして関与するのか?

4.紛争解決システムの適用
推進派は、意味のある、強制可能な、他の章で使われている国家間の紛争解決の仕組みの
重要性を強調している。参加国は、追加的対話や検証が、正式な紛争解決の手順に先駆けて
必要ではないかとかあるいは紛争解決のためには他の要素も含まれるべきだはないかとの
検討をしている。
今回リークされた文書から生じる主要な疑問点

<今回リークされた文書の内容を受けて、ニュージーランドのオークランド大学法学部教授
であるジェーン・ケルシーさんは、以下の疑問点を指摘しています>

・国有企業の公共サービス機能及び公共財機能についてどのような保護が与えられるのか、
国有企業はどのように定義されるのか、また国有企業にすべてのルールが適用されるのか。
・締約国政府は国有企業のいずれがルールに服するかを定めることができるか、また他のす
べての締約国の同意が必要か。
・すべての締約国が等しく取り扱われるのか、あるいはこれらのルールは国有企業を多く抱
える国々により大きな影響を与えるものであるか。
・このルールは、経済、雇用及び地域産業が国有企業に依存する国々、特にベトナムのよう
な発展途上国にとってどのような意味を持つのか。
・ルールは中央政府レベルにある国有企業にのみ適用されるのか、またそうであれば、それ
は中央集権化された政府を持つ国々に対して、連邦制の国の下位の政府に対するものと反対
に、過度の規制を押し付けることにならないか。
・もし国有企業が商業的な側面と社会的又は公共財の機能との複合的性格を有する場合、あ
るいは市場モデルが失敗して政府がその機能を回復し、またその機能を提供するために国有
企業に対して支援を行う場合、なにが起こるのか。
・もし国有企業が、郵便サービスやテレコムサービスのようなユニバーサルサービスの提供
の対価として特別な支払いを受けている場合、ユニバーサルサービスを提供する義務はどの
ように保護されるのか。
・国有企業がユニバーサルサービスと共に民間企業と競合する活動を行っている場合、ユニ
バーサルサービス提供義務に対する支払いは反競争的な支援に該当するか。
・当初資本の提供又はその他の支援が必要な場合に、社会的又は市場の失敗に対応するため
に新たな国有企業を設立することは可能か。
・TPPA の国有企業の章は、国有企業の社会的そして支援を受けた側面を剥ぎ取ることによ
る民営化への裏口ではないのか。したがって、民間によって容易に運営できない理由はない
のではないか。
・TPPA 締結国からの投資が国有企業と同等の待遇を受けるべきであれば、外国籍投資家は、
外国人投資家が差別とみなすものを訴え、または外国籍投資家の期待が実現しなかったこと
を理由に不公正な取り扱いを受けたと訴えるために、ISDS を使用することができるか。
・資源やインフラの独占はどのように影響を受けるか。
・独占に適用されるルールは、将来の独占だけでなく、すでに存在する独占にも影響を与え
るか。
・提案された監視・評価手続の下では、政府や個別の国有企業による権限乱用や嫌がらせに
対してどのような保護が存在するか。
・政府は、監視・評価手続の一環としての情報提供を求め続けることによって、他国の国有
企業のリソースを停滞させる可能性がないか。また民間の競合企業がそのような情報提供義
務を負っていないため、それらの国有企業を競争上不利な立場に置く可能性がないか。
・もしこれが完全に新しいルールのセットである場合、すべての政府がこれらのルールがど
のように機能するか本当に理解しているか。また締約国政府は、紛争解決機関がどのように
紛争を裁くかについて、確信があるのか。
・透明性及び規制のコヒーランス(収斂)を含む、他の章において規定された「透明性」条
項は、国有企業にも適用されるため、他の国からの競合企業が、それらの条項を情報、説明
及び国有企業に関連する規制当局の決定に対する評価を要求し続けるために利用する可能
性はないか。


<山田正彦・元農林水産大臣のコメント>

始めに、ウイキリークスのリークは米国では「非公開の公式文書」として認められていて、
日本でもTPP差し止め訴訟の証拠として提出できるものである。
1、ここでの国有企業とは国(公共)の支配下にある法人の行う事業をさすもので、日本の
場合は国民健保、共済健保、建国保険組合、国立、市立、離島などにある県立病院、及び畜
産振興事業団エーリックなどの野菜、砂糖、畜産物の価格安定資金の事業もすべて含まれる
もので、TPPでは例外があるとすれば、すべて明記して、他の11か国の同意を得ておか
なければ、ネガテブリスト方式なので全てが該当する。
2、国民皆保険制度は政府はそのまま堅持すると言ってきたが、今回明らかになったように、
外国の保険会社との関係では、明らかに国有企業として、政府の関与が差別的で不公平な競
争であり、「相手国企業の不利益」をもたらす「反競争的な行為」であるとの攻撃を受ける
ものと思われる。その結果、国民が安心して利用可能な安価で公平な医療制度が壊されるこ
とになってしまうものと思われる。
例えば薬価は日本の場合、薬価審議会の決定を経て厚生労働大臣が決めて2年に1回引き下
げることになっていたが、これからは、政府は米国の製薬会社と協議して決めなければなら
なくなる。
3、また中小企業などの政策金融公庫、住宅金融公庫などの公的な金融機関、労働組合、生
協、農協などの共済保険にも適用されて、政府による税制上の優遇措置などもすべて該当す
る。例えば、郵貯の簡保に、政府が癌保険を認めれば、郵貯銀行は国有企業なのでアフラッ
クと自由で公平な競争にならないとして、日本郵便でアフラックの癌保険を売り出したよう
に。
4、新聞でも一部報道されたが、国だけに限らず地方自治体の公共事業も国有事業に準じて、
例外、工事の限度額がTPP協定で明記されない限り、日本の中小の企業と米国のペクトル、
ゼネコンなどと英語と自国語との競争入札になる。
5、今回のリークされた内容からすれば、これらの「差別的」「公平な競争」「相手国企業に
不利益を与えない」「反競争的」は条項に反したらISD条項によって解決されることにな
っている。
政府は莫大な損害賠償を求められることになる。
しかも、これらの規制そのものが、非常に曖昧で広範なものになっているが、ISDでは外
国資本の投資から賠償を求められたら、日本政府がそうではないことを立証しなければなら
なくなる。
極めて困難である。
6、それに大事なことは、漁業補助金の禁止は報道されたが、農業、医療、国立大学などに
出される補助金も日本政府は自由に決めることはできなくなる。今回明らかになったのはT
PPでは、政府が補助金を出すにしても一定の基準定めることが求められている。
平たく言えば米国の同意がなければできなくなるのではないかと思われる。
7、さらに相手国、米国などの企業に「不利益を与えるような行為」、は禁止されることに
なる。
例えば自治体が行っている「地産池消」の学校給食も、現在韓国で問題になっているが、カ
ーギルなど米国の企業にとっては「不利益を与える行為」にあたるものと思われる。
8、さらに、大切なことは、今回のリークされた内容では、日本政府による外資企業に対し
ての「反競争的な行為」は禁止されている。
例えば食の安全で、私自身も訪米の際「遺伝子組み換え食品の表示を法律で義務つけしてい
るのは止めてほしいと言われたが、まさにこれらの法律は「反競争的な行為」に該当するも
のと思われる。
9、今回、リークされた国有企業の章は2013年12月7日から10までに出されたもの
であることを注目してほしい。
今回次々に新聞で報道された牛肉、豚肉の関税もかつて読売新聞がリークしたが、その通􀀀
になっているにかかわらず平気で誤報であると言い張った。
この間2年近く交渉を重ねての今日なので、リークでの疑問部分はすべて解決済みであると
考えられる。
それの情報開示を先ず、私達は求めなければならない。

2015年7月29日水曜日

オバマ政権は2015年中に「TPP法案採決」と喧伝するが、 ファストトラック(TPA)の日程と一致せず


米国・パブリックシチズンによるリリース

TPP条約採決可能日程】

オバマ政権は2015年中に「TPP法案採決」と喧伝するが、
ファストトラック(TPA)の日程と一致せず

TPP推進派は2015年末に環太平洋連携協定(TPP)を議会で採決したがっている。しかしそうするためには、ファストトラック(TPA)の規定が要件としている通知期間や採決前の報告の期限があるため、少なくとも7月中にTPP交渉を完了(大筋合意などでなく)させなければならないし、TPPの協定文そのものも完成していなくてはならない。もしTPPへの調印の意志の議会への通知が81日までに送付されるならば、最終的なTPPの採決は12月に開かれる会期の最後の週に行いうるだろう。

ファストトラック(TPA)のもとで考えられる最速の日程を想定し、要件とされるTPPの影響(インパクト)についての米国際貿易委員会(ITC)の報告が、もし過去の協定の場合よりも早く完了できれば、TPPの採決は、協定調印の意志を議会が受け取ってから約4か月半後におこなうことができる。
このように、まず交渉は72831日のハワイでのTPP閣僚会議でしめくくらなければならず、協定文は81日までに調印の意志を通知できるように用意されていなければならない。そして協定文そのもののテキストは830日に公示されなければならない。そうなれば1214日の週に採決ができる。そのあとになると、議会は休会に入り採決は2016年にずれ込むことになる。

評判の悪いTPP可決の政治的代償は、大統領選挙がおこなわれる2016年にずれ込めば増大する。すでに民主党、共和党の候補者はTPP批判を開始しており、かれらの公然とした批判は協定がもつ雇用喪失などなどといった潜在的な脅威に一般の人々の目を向けさせている。2016年の採決となると、201611月に行われる議会選挙でTPPに賛成票を投じた議員を有権者が罰することもありうるというリスクを増大させることにもなる。
 
最小限の予定表:交渉終了から議会での採決まで4か月半

この仮説的な予定表は、過去の貿易協定で起きたよりも、重要な問題でより速い方向転換があることと、ファストトラック(TPA)の予定表の若干の変更があること、議会のメルトダウン、反対あるいは議員間の儀礼的支持がないことを想定している。これはファストトラック規定のもとでのTPP採決への最速の予定表である。(引用は2015年ファストトラック法案の条項。)

l  もしTPP「最終合意」が731日のハワイでのTPP閣僚会議で発表されれば. . . .
最終的な「合意」が声明されるとしても、現実にどうやって最終テキストができるのか?知的所有権や投資など中心的ないくつかの章は依然として、政策上の規則をうちだした条文に憲法違反の対立が残っている。
中心的な市場アクセス問題(関税と関税率の割り当て)および原産地規則の問題が未解決のままである。適用除外とコミットメントについてのスケジュールについては、「投資」、「国有企業」、「サービス産業」、「調達」などに関してまだすべてが完了しているわけではない。
このように、いまだに最終テキストが仮調印できるようになっていないのである。多くの問題がこう着状態で残存し、このように最終条文が存在していないので、条文への調印の意志が米議会に通告されようがない。それでも、さしあたり、何らかの条文があって、通告がおこなわれうるということを想定してみよう. . . .

l  もし条文が出来上がっていて、調印の意志を議会に81日までに通告するとすれば. . . 条文が何らかの形で具体化されていることを想定すると(未解決の問題についてTPP各国大使からのコメントがそのような早急の決着に疑問を投げかけているにもかかわらず)、条文は81日までに仮調印されなければならず、1030日にオバマ大統領が署名する意思を90日前までに議会に通告しなければならない。


調印前通告の最小限期間90 ファストトラック(TPA)では大統領は協定調印の少なくとも90日前に議会に通告するよう求めている(Sec. 106(a)(1)(A))。また、TPP調印のすくなくとも90日暦日前までに、オバマ大統領は米国際貿易委員会(ITC)に「その当時のままの」協定の詳細を明らかにし、ITCにたいして協定がおよぼしうる経済的影響の評価を準備するよう要請しなければならない(Sec. 105(c)(1))。オバマ政権はこれまでITCに対して、最終的な詳細を明らかにすることはできていないが、同評価をおこなうようすでに要請した。ITCは、最終的なTPP合意が無い中(条件が分からない)で評価をおこなうようにとの政権の要請にこたえるかどうかの回答を拒否しているが、Inside U.S. Tradeは「情報筋」は結局受けることになるだろうと報じている。

l  もし、831日に協定テキストが公表されれば. . . .
ファストトラック(TPA)の規定では、調印の意志を表明した90日以内の議会通告の30日後にテキストを公開することを義務付けている。これは、通商代表(USTR)が「最終テキストはある」と主張しても実際にテキストがないという「不正」を可能にする期間がわずか30日しかないということである。
このような誤魔化しをするためには、議会のテキストへのアクセスを、調印の意志を示す通告期間である30日間禁止することを必要とする。つまり、最終テキストは、調印する意思の通告が行われる以前に最終的なテキストができている必要がある。

テキストが公開されなければならない時までの最小限の期間――協定完成と調印の意志通告から30日後までSec. 106(a)(1)(B))。また、大統領がTPP調印の意志を議会に通告してから30日以内に、政府の貿易諮問委員会(複数)は、未解決の協定についての見解を大統領、議会、通商代表に報告しなければならない(Sec. 105(b)(4))。

l  もしTPP条文が1030日に調印されるばあい. . . . その場合には最終テキストの法的仕上げが90日以内で行われることが必要である。それはどの言語のテキストを公式テキストとするかについての不一致が英語とスペイン語だけを公式とすることで解決されることになれば可能である。法律の専門家は、交渉終結の後に必要な法的仕上げの時間を短縮するために、交渉中に、できあがった英語のTPP各章の法的仕上げ作業をおこなってきた。米国の貿易協定の法的仕上げはふつう数カ月かかる。法的仕上げ作業が行われてきているが、法的拘束力をもつテキストに追加の文言があるかもしれないということからして、交渉が決着してからどれだけの時間を要するかは明らかでない。しかし、もし最終的なしあげられたテキストが1030日に調印されたならば、法律の施行の提出に向けた30日間のカウントダウンが始まりうる。

TPP実施法が提出されるまでの期間:30。ファストトラック(TPA)は、大統領が最終的に調印されたテキストを米議会に送付してから少なくとも30日間待って、協定実施法案を提出することを義務付けている。TPP調印後のいずれかの時に、大統領は議会に「最終的な法的テキストの写し」および協定を実施に移すために提案された行政府の措置の声明案を提出できる(Sec. 106(a)(1)(D)。大統領は、TPPの最終的な法的テキストの写しを議会に提出してから30日後に、協定実施法案、実施法案がどのように米国の法律を変えて協定の条件にしたがうようにするのかについての説明、協定を実施するために提案される行政府の措置についての最終的な声明、環境および雇用にたいする影響の見通しについての報告、協定実施・執行計画、その他の関係情報を提出できる。

l  もしTPP実施法が1130日に提出されるならば. . . . そのためにはITC(国際貿易委員会)にたいしてTPPの予想される米国の経済的影響についての、規定によって義務付けられた報告を記録的な速さで完了することを求める。規定で義務付けられているわけではないが、議会は常に貿易協定を検討する前にITCの報告を待つようにしてきた。加えて、上院は1130日に開会していなければならない。下院は開会を予定しているが-実行立法は両院とも開会しているときにのみ提案できる。

l  もし議会がほとんど議論もなかった以前の米国の貿易協定について採決にかかった時間の半分で行動するならば. . . .

そうすると、最終的なTPP採決は議会の休日休会前の最後の週におこなわれうる。すなわち1214日に始まる週である。自由貿易協定の実施法案の提出とそうした法案の採決の間の期間の中央値は2週間ということになる。7日(モロッコとの自由貿易協定の場合)から85日(オマーンとの自由貿易協定の場合)までの幅がある。もし過去のFTA(自由貿易協定)すべてを考えると中間値は16日間となる。バーレーンとの自由貿易協定(FTA)の実施法案が、法案上程(これも11月)から、ファストトラックのもとで議会両院で可決されるまで27日要した。これは「反対」票の数の点で少しも議論にならない自由貿易協定の場合である。
TPPの採決をより少ない時間でおこなうことは技術的には可能であるが、TPPの場合は、協定自体がきわめて大きな議論になっていることからしてもっと多くの時間を要する可能性が大きい。これには、実施法案の最終審議を行わない委員会での最小限審議も行われるだろう。

TPPの議会審議にかける最大限の時間. . .
TPP実施法案の上程から45議会日以内:米下院歳入委員会は、法案を報告しなければならない。さもなければ自動的に取り下げられる(19 USC 2191(e)(1))TPP実施法案が下院歳入委員会を離れる15議会日以内:下院本会議は法案を採決しなければならない(19 USC 2191(e)(1))。下院採決から15議会日以内:上院財政委員会は法案を報告しなければならない、さもなければ自動的に取り下げられる(19 USC 2191(e)(2))。法案が上院財政委員会をはなれて15日以内に上院本会議は法案を採決しなければならない。実施法案が議会両院を通過したあといつでも:大統領は実施法案に署名することができる。
少なくともTPPが発効する30日前:大統領は他の協定参加国すべてが、協定の条件に適合するよう国内法を変えたことを議会に通告しなければならない(「協定の諸条項にしたがうために必要な措置がとられ」)大統領が満足のいくようにする(Sec. 106(a)(1)(G))。

*義務付けられているITC報告についてのメモ: 大統領がTPPに署名してから105日内にITCは大統領と議会にたいして、協定により予想される経済的影響についての報告を提出しいなければならない (Sec. 105(c)(2))。最近米国が締結したすべての自由貿易協定はITCがその報告を完了したあとのみ、議会で採決されてきた。
20152月、マイケル・フロマン米通商代表はITCにたいし、まだテキストは交渉中でるがまず評価を開始し、評価を2015年夏までに終えるように求めた。アービング・ウィリアムズ(Irving Williams)前ITC委員長は、TPP評価にはすくなくとも5か月かかると考えた。ITCがいつ評価を完了するかは不透明である。

★原文: TPP Vote Calendar Obama Administration Hype About a TPP Vote in 2015 Does Not Comport with Fast Track Timelines

http://www.citizen.org/documents/TPP-vote-calendar.pdf




2015年7月27日月曜日

マウイ閣僚会合での国際市民団体、NGO、専門家の活動 その1

マウイのTPP閣僚会合にて、NGOや専門家が協力して以下のような取り組みを行います。
私自身は、コーディネートやプレスワークを中心に行います。記者の方でご関心ある方は直接会場にお越しになるか、kokusai@parc-jp.org までご連絡ください。



市民団体の専門家らによる記者会見について
7月28日、29日、30日 10:30〜

記者会見は、Westin から徒歩2分のHula Grill で10:30AMから行われます (2435 Kaanapali Parkway, BLDG. P1, Lahaina, HI)Hula GrillWestinのすぐ隣です。プール横の歩道を右に曲がって、北方面(海を左手に)に歩いてください。Whalers Villageに入って、右手の2件目のレストランがHula Grillです。

マウイTPP閣僚会合で何が危機に瀕しているか

2015年7月28日(火)
10:30〜

場所:Hula Grill, 2435 Kaanapali Parkway, BLDG. P1, Lahaina, HI
TPPの未解決の問題や、TPPを締結するために閣僚らが行うかもしれない政治的取引が、全TPP参加国の国民、公衆衛生や環境に及ぼす影響について、市民団体の専門家らが説明します。

会見者
  • 山田正彦       TPP交渉差止・違憲訴訟弁護団共同代表、元農林水産大臣 (日本)
  • デボラ・グリーソン   ラトローブ大学教授、公衆衛生協会
    (オーストラリア)
  • マーティー・タウンセンド    シエラクラブ自然保護団体、ハワイ会長 (アメリカ)
  • ピーター・メイバードッグ    パブリックシチズン医薬アクセス部ディレクター(アメリカ)
TPP交渉の憲法との衝突:東京地裁での訴え提起

2015年7月29日(水)
10:30〜

場所:Hula Grill, 2435 Kaanapali Parkway, BLDG. P1, Lahaina, HI
交渉の差し止めを求める裁判を東京地方裁判所に起こした原告団の弁護士二人が、TPP参加国の国民にとってのこの訴訟の意味を説明し、訴状の法的議論を概説します。

会見者
  • 山田正彦 TPP交渉差止・違憲訴訟弁護団共同代表、元農林水産大臣
  • 三雲崇正 TPP交渉差止・違憲訴訟弁護団メンバー、新宿区議会議員
市民団体、学者、医療提供者らが説明する、TPPが公衆衛生に及ぼす影響

2015年7月30日(木)
10:30〜

場所:Hula Grill, 2435 Kaanapali Parkway, BLDG. P1, Lahaina, HI
TPPに参加している12カ国の閣僚や政府代表者がマウイで会合を行う中、TPPが公衆衛生に及ぼす悪影響について市民団体、学者、医療提供者らが説明します。

会見者
  • ジューディット・ルイス・サンフアン 国境なき医師団(MSF)キャンペーンマネージャー兼法政策アドバイザー(アメリカ)
  • デボラ・グリーソン   ラトローブ大学教授、公衆衛生協会
    (オーストラリア)
  • メイバドッグ    パブリックシチズン医アクセス部ディレクタ(アメリカ)