2017年6月27日火曜日

欧州委員会が公表した日欧EPAの交渉テキスト(欧州提案)の仮訳UP

 2013年5月から交渉が始まった日欧EPA(JEFTA)は、TPP以上に政府からの情報公開や説明が少なく、多くの人たちが交渉の内容はおろか、交渉分野の詳細や日本の主張を知ることができずにいます。

 にもかかわらず、日本政府は2017年7月にEUとの間で「大筋合意」を目指しているという報道が散見されます。日本国内では「農産物関税」と「自動車関税」についての報道ばかりですが、実は日欧EPAでの難航分野は、「電子商取引」分野におけるデータフロー問題と、「投資」分野における投資家対政府紛争解決メカニズムです。欧州や米国の報道では、このことが繰り返し指摘されているにも関わらず、日本ではまったく伝えられていません。

 7月の「大筋合意」の中身を詳しく追求していくと、どうやら、難航している「データフロー問題」と「投資裁判制度」は「大筋合意」には盛り込まず、2017年末までに解決するということが日欧両政府の間で「合意」されているようです。その意味で、7月大筋合意はある種の「政治的合意」であり、交渉はさらに夏以降も続くことになります。まずは、こうした状況をしっかり把握することが重要です。


 いずれにせよ、日欧EPAは、TPPやRCEPなど他のメガ貿易協定と同じく、関税撤廃はもちろん、非関税分野も広範に含まれている。私たちの暮らしに直結する様々なルールが、変更される可能性が高いと言えます。

 私の所属するアジア太平洋資料センター(PARC)は、日欧EPAに関して2016年以降、TPPと同様に最大限の注意を払い、ヨーロッパのNGOや労働組合等、市民社会組織と協力して交渉のウォッチやリーク文書の分析などを進めてきました。7月の「大筋合意」が既成事実化していく中で、できるだけ多くの情報を発信したいと思います。ぜひ皆さんも拡散をお願いいたします。

★以下は、6月27日更新★

交渉テキストの仮訳(欧州委員会による発表)

秘密交渉である日欧EPAですが、EU側の情報公開は不十分とはいえ、日本よりは数段進んでいます。2017年3月、欧州委員会は「規制の協力」「中小企業」の2つの分野に関して、EU側の提案テキストを公開しました。多くある分野の中で、なぜこの2分野のみの公開なのか説明はありませんが、両政府から初めて公開された公式の提案テキストです。

ここではその原文と、アジア太平洋資料センター(PARC)が行った仮訳を公表します。


規制に関するよい慣行と規制協力」章  原文(英語) 仮訳(日本語)

「中小企業」章  原文(英語) 仮訳(日本語) ※後日UPします



※出典:欧州委員会の日本との貿易に関するウェブサイト:
http://ec.europa.eu/trade/policy/countries-and-regions/countries/japan/index_en.htm#more

3 件のコメント:

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  3. 規制に関する良き慣行を一瞥しましたが、TPPと同様の必要最低限の規制に止めよとする厳しい基準の使用を求めています。新自由主義の徹底を求める点でEUも変わらないことに些かがっかりしました。

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